実際のところ、下ごしらえが7割くらいなものだ。
1つ案件を受けると、メールのやり取りに始まり、打ち合せ、設計図をつくり、準備、素材の調達、加工できるように整理、そこまでで全体の労力の7割くらいを使っている。その後にようやく実際のものをかたち作っていく。
こうして全体を俯瞰すると、いかに下ごしらえが重要か分かる。
先のイチローの話もそうだ。見えているものの下には、とてつもなく膨大な下ごしらえがある。
僕が大好きなエピソードを1つ紹介しよう。
TVチャンピオンという番組をご存知だろうか。
僕が小中学校のころ盛り上がっていた番組で、一般人が自分の得意分野で1位を目指すというもの。その大工の回が忘れられない。
鉋(かんな)で木の表面を削り、60秒でどれだけ多く削れるかという勝負があった。1人はスタートと同時にすごい勢いで木を削りだした。
もう一人は支給された鉋を30秒くらいトンカチで叩き、調整しつづけたのだ。
残り30秒のところでようやく木を削りだした。
結果はご想像の通り、30秒調整し続けた方が勝った。
結果が最大になる方法を知っていたのは、後者の大工だった。
いかによいものをつくるか。
下ごしらえの重要性はとても大きい。