今日は勤労感謝の日だった。僕は丸一日打ち合わせに出ていた。街は結構お休みモードで、穏やかな空気が流れていた。朝方は冷たい雨がふっていた東京も、午後にはすっかり晴れ、暖かい日差しが差し込んだ。僕はちょうど田園都市線の二子玉川あたりで、多摩川を渡っていた。雨上がりで空気が澄み、河川敷に反射する光がとても美しかった。
そんなとき、電気グルーヴの虹がききたくなる。
勤労感謝の日というのは、元は収穫祭みたいなものだったようだ。秋の終わり、稲や作物などの収穫物に感謝する日。次の1年の日本を養うための税金のような側面もあったのかもしれない。現代では、農業以外の仕事についている人が多い。自然のサイクルなど関係なく、1年365日ぶっ通しで働けてしまう。オフシーズンは無い。でも、勤労感謝の日として自然のサイクルを思い返し、1年に1回の区切りをつけるのはいいことだと思う。感謝感謝で、今夜もまだまだ仕事をする。
小規模のチームがとるべき戦略
先日、同業者の知り合い(M氏)と久しぶりに合い、近況を報告し実績を交換しあった。同じような技術を持ち、同じような取引先と、同じような仕事をしている。しかしながら、あまり一緒に仕事をするタイミングが無かった。なぜなら、全く違う作戦で仕事をしていたからだ。同業でありながら、180度違うと言ってもいい。
M氏の実績はすばらしいものだった。超ハイクオリティ。レストランに例えれば、高級専門店。対して、僕の実績はそれほどクオリティが高くない。ちょっといい居酒屋くらいのものだろう。そして、M氏のターゲットは明確で、ほとんどある1点のジャンルにしぼられていた。明確で小範囲のターゲットとクオリティ。比較的小規模の戦いをするときの戦略としては正解だろう。地域一番を狙うのがいい。広範囲の薄利多売みたいな絨毯爆撃は大資本が必要で、そういう作戦は大手企業にしかできない。
M氏に勝つには
僕の仕事はM氏のクオリティ、作戦には及ばない。ではどうやってM氏に勝っていけばいいのだろうか?結論から言えば、時代に乗るということだと考えている。今のお客さんに最適化する。実は、M氏の最近の悩みは、仕事があまりないということだった。こんなすばらしいサービスを提供していてなぜ?と思ったのだが、今、高級専門店が流行るか?と言えば、それはちょっと疑問なのではないだろうか?
みなさんはいっちょうという居酒屋をご存知だろうか?
実家に帰るとだいたいここに行くほど、僕の家族の中では定番の居酒屋さんだ。基本的には和食なのだが、ピザやラーメンなどだいたいなんでもある。そして、なんでもある居酒屋さんはあまり味がよくないという欠点があるものだが、いっちょうはそこそこ旨いのだ。なんでもあってまぁまぁ旨いという絶妙なラインに乗っている。客のニーズを無難にリクリアしつつ小回りが効くというスタイルで生き残っている。生き残っているというか、いつも爆混みで平日でも数十分くらいの待ちになるくらいだ。
クオリティはそこそこに、いっちょうほどの規模でなくとも、小料理屋みたいな感じで。小回りとお客さんへの対応。メニューに無いものもさっとつくる。M氏との戦いは、この絶妙なラインにのせることで勝機があるように思う。