1月13日。まだ今年になって2週間たっていない。しかし、もう2週間が過ぎ去ってしまう。大人になると時間の進み方が早くなるという。いくつか理由が語られているのだけど、僕がもっとも同意できる説が2つある。
1つ目は、大人になると時間の分母が大きくなるからというもの。10歳だと1時間の感じ方は1時間/10年。しかし、30歳だと1時間/30年。10歳の人に比べて、30歳の人は3倍くらい時間の流れが早く感じるということになる。
2つ目は、大人になると空間の分母が大きくなるからというもの。使える空間が広くなり、相対的に自分の行動に時間がかかるようになる。小学生の頃は、1日に動ける範囲が狭いから、移動にかかる時間も少ない。活動内容も少ないため、1日の中で色々が完結していく。大人は行動できる範囲や、活動内容が大きく、そのぶん時間がかかる。1つの行動に1日とか数日とかかかるようになる。移動だけで1時間使うとか。打ち合わせに出たら半日終わるとか。「時間が足りない」と感じることが増える。背が高くなり俯瞰できる広さも増えることも一因かと思う。将棋の駒を1つ動かすために、子どもは1つのコスト、大人は3つくらいのコストがかかるイメージだ。
上記の2つの感覚が合わさって、大人の時間はどんどんなくなっていく。お正月に実家に帰った時、おじいちゃんが「あっという間だぞお前」と言っていた。その通りの感覚なんだろうなと思う。今は一瞬で過去になる。そして「過去」なんて場所はない。同じく「未来」という場所もない。ずっと今を生き続けていく。おじいちゃんも僕も、今しかない。次の瞬間、その時がきてしまうのだ。僕も一瞬でおじいちゃんの歳になるだろう。
僕は小学校の頃、その感覚に抗う方法を考えたことがある。学校の授業や宿題をやる時間はなんて長いんだろう。全く退屈だ。でも、友だちと遊んでいる時間、楽しい時間はすぐに過ぎてしまう。どうにかせねば。そこでひらめいた。時間を遅くする方法。それは、時計の針をずっと見続けることだ。1秒1秒進んでいく秒針を見続ける。時計を見ないでしばらく放っておくと、いつの間にか針が進んでいる。夢中になって遊んでいる時は時計のことを忘れている。思い出した時にはもう帰る時間になってしまう。でも、時計の針を見続ければ、針はゆっくりと、1つ1つ進んでいくのだった。今この瞬間を1秒づつ確実に感じることができる。
時間を確実に噛みしめるためには、1つ1つカウントすることだ。大人になった今、時計をずっと見続けることはできない。でも、時間の流れを意識して生活することはできる。ぼんやり過ごすことをやめたり、1日のスケジュールを決めたりすることでもいい。1時間ごとに跳び出す鳩の時計とか超最適だと思う。1時間ごとに、時の流れを感じられる。次の1時間はどう動こう?と思える。1時間単位ではなく、1日単位でもいい。毎日日記をつけることで1日1日を感じていくことはとても大事だと思う。僕はそれを実行している。日記が難しければ、簡単なメモでもいいかもしれない。カレンダーに毎日マルをつけることでもいいだろう。とにかく、時間の経過を記録して、1つ1つ区切って、時間の流れを意識して感じていくこと。そうすれば、猛スピードで駆け抜けて過ぎ去っていく時を少しゆっくりにできると思う。