代々木ではたらく

これからの働き方を考える

タクシーについて思うこと、

タクシーが好きだ。気軽に時間を買うことができる。タクシーという乗り物は、時間を売っている、最も身近で分かりやすい施設だ。僕は月5万円くらいタクシーで時間を買う。車を所有する必要もないしね、自分で事故ることもない。保険もない。そう考えるとタクシーはめちゃお買い得なのだ。まぁそんなことみんな知ってるわな。

 

2015年ロスに行った時はUberを使った記憶がない。ずっとタクシーで移動していた。英語ができないから行き先を伝えるだけで一苦労。3日動き回って700〜800ドルくらい使ったように思う。2017年に同じ場所に行ったらUberだらけで超便利になっていた。Uberを使った人ならわかると思うが、とてもスムーズだ。普及度にもよるだろうが、呼べば3分くらいで来るし、来た時点で行先が伝わっているから何も伝える必要がない。英語ができないとか関係ない。「hi!」とか言ってればいい。伝える必要がないってのがとくにいい。言語とかの問題がなくても、この「伝える」っていうのが超難しくて、面倒くさいから。

 

日本でタクシーに乗っても日々感じている。行先を伝えるのがとんでもなく面倒。大きくて分かりやすい施設ならすぐに伝わるけど。でも、ちょっと小さい建物だったり、マニアックな場所だと、その場所の名前だけでは伝わらない。

僕はいつも、行き先を伝えるとき「住所でもいいですか?」と聞いている。それに対する運転手さんの反応はまばらで、タクシー歴が浅い運転手ならちょっとホッとしたような反応が多い気がする。おそらく、ナビ通りいけば文句つけられないからだろう。

逆にベテランに住所を伝えると、ちょっと嫌な感じを出してきたりする。それは何故なんだろう?。「俺の方がナビより道に詳しいのに」って意味なのか「ナビ通り行って混むの嫌だ」なのか。どちらもあまり変わらないか。とにかくナビが嫌いっぽい運転手は多い。

 

たまに運転手が細かくルートを聞いて来るケースがある。「〇〇通りの△△っていう交差点を左折して〜〜その間を〜〜で〜〜わしのギャロップちゃんが〜〜じゃろ?〜〜、っていう経路でいいですか?」って。知らんがな。と思ってしまう。タクシーの運転手は運転のプロだ。道のプロでもある。その「〇〇通りガー、、、」っていう言い方はプロの会話なのだ。素人にとって道の名前や、交差点の名前なんて言われても分からない。それならとにかく一言「今の時間で一番早いと思う道で行きますね」って言ってくれればいい。そしたら「お願いします!」って返す。自分より道に詳しい人が自信満々に「この道が良い」って言ってくれれば信じるって。それでちょっとくらい間違っててもわめきませんって。でも、そうやって細かく聞いてくるってことは、過去に自分よりももっと道に詳しいお客さんと一戦交えたことがあるのかもしれない。「あの道の方が近いとか」「なんでその道行くのか」とかネチネチ言われたのかもしれない。そのツケを払わされているようで。もう勝手に好きな道で行ってくれよと思う。

 

なぜお互いうまく伝えられないのか。Uberなんてテクノロジーにあっさりと負けてしまうのか。それは、お互いの知識レベルの違いを瞬時には埋められないからだろう。全ての人は知識レベルが違う。頭の良し悪しだけでなく、分野の違いもある。だから、同じ原語を使っていながら、どこを基準に会話していいか分からない。初対面だとまずそれが発生する。タクシーという特性上、知識の摩擦係数がかなり高い。あまり細かく指摘したくはないのだが。運転手と乗客で、かなり違う人物像が1つの空間を共有し、初対面の人間に目的地と経路を伝える。そこには時間帯や土地の性質、急ぐかどうか、もしかしたら途中で寄る場所。など様々な要素を加味する必要がある。これを短時間のうちに「言葉」でまとめ上げるのは至難の技だ。「言葉」というのは短くすればするほどいろんな情報が省かれてしまう。123456789と順番に伝えると時間がかかるので、13579と伝える。分かってくれる人はいい。これが伝わらないと、13579(?)123456789と最初から順に説明した時の1.5倍くらいのペナルティを食らう。

 

本来の「伝える」という手順であれば、目的地や経路を伝える前に、どれくらい知識レベルが近いかというのをすり合わせる必要がある。あの建物知ってますか?とか、あの道知ってますか?とか。でもそんなことしている場合ではない。もう車は進行し始め、メーターは回り始めている。これはもう無理ゲーである。僕はタクシーに乗った瞬間、うわめんどくせーーっていつも思っている。僕の頭スキャンして目的地自動で共有してほしいわ。もう。それか、この人がこの時間この場所でタクったら行き先はここっていうデータを蓄積してほしい。そっちの方ができそうだよね。Uberを導入したくないなら、やることなんて山ほどあるよなー。