社員7人の町工場が、残業ゼロ、全社員年収600万円以上という記事を見た。
この話って、もう何回も記事になっているような気がする。定期的に見ているような。どこかで読んだ話だ。町工場などの小さい組織でも、うまくやってるんだから君たちもなんとかせーよ。という謎の圧力を感じる。
ラッキーなケース
全員年収600万ていっても、そもそも町工場って時代の流れにガンガン煽られる。良いときはいいけど、悪い時は悪い。自分の会社でコントロールするのは難しい。そして、下請けだけをやり続けるといつか潰れる。仕事を出してくれる上位の会社の風次第、経済状況次第だからだ。独自のものを持っていないと、徐々に下降トレンドを描いていくことになる。経済状況が悪くなりだすと、まず下請けから影響を受ける。当然なんだけど。親会社がダメになり始めると、まず子会社が絞られる。もっと安くしてくれとか、もっと早くつくってくれとか。そして川下の会社から潰れてしまう。親会社が先に潰れるってことはほとんどないはずだ。
優秀な社員
この町工場のケースは、独自の技術を持っていたか社員がものすごく優秀か。どっちかだろうなーと思う。で、中小企業っていうのは言っちゃ悪いが、ものすごく優秀な人というのはあまりいないとすると、何かしら特許を持っていたりするのかもしれない。
ある会社で、こんな話を聞いた。コピーを取るとき、ホチキスの針を外すためだけに大卒を雇ったという。笑ってしまった。なんでそんな簡単なことのために大卒を雇うの笑?しかし、待って欲しい。僕含め、みなさんはコピーをちゃんと綺麗に取れるのだろうか?「ホチキスの針を外す」っていう作業は、実はものすごいクリエイティブな作業なのだ。まず、コピーを取るときにホチキスがしてあると、角が浮いたり、台に対して曲がってしまう。そのままコピーをとれば当然曲がった状態のコピーが出来上がってしまうわけだ。ホチキスの針を外して、きちんと整体させてコピーを綺麗に取る。それを教えられなくてもできる人ってどれくらいいるのか?僕はちょっと無理かもしれない。そんなん内容と関係ないしどうでもいいじゃん。って思うけど、これは分かりやすい例で、仕事をしているとそういう些細な部分が積み重なって全体を作っている。無意識に通過されてしまうと困る仕事も当然あるだろう。そういう部分に気を使えるかどうか、自分で考えて工夫できるかで仕事のクオリティは大きく変わる。教えなくてもホチキスの針を外せるというのはとても重要なことなのだ。そういう優秀な社員さんは残念ながらほとんどいない。
残業代をゼロにするために必要なこと
この町工場の記事の中で出てくるエピソードとして、印象的な部分がある。残業をなくすためにしたこと。残業NGにしたうえで、残業していたら発生するはずだった給料を上乗せで払ったという。そして、じょじょに作業時間を定時に合わせていった。定時に帰れると分かれば、無駄な作業はしなくなっていく。無駄な作業に「残業代」は支払われないから。残業代をゼロにしたいなら、まずは出るはずだった残業代を全部支給して、その上で残業NGにするという凄まじい決断と、資金的余力が必要なのだ。あと優秀な社員も必要。